妊娠に気付いたばかりの4、5週頃には、お腹の中の超音波写真に赤ちゃんを包む「胎嚢(たいのう)」という袋が見えます。胎嚢の大きさは約10mmで、まだ中にいる赤ちゃんの姿は見えません。しかしこの頃、まだしっぽがある両生類に似たような姿をしている赤ちゃんも、妊娠7週頃になると長いしっぽのようなものはなくなり、頭と胴体の区別がはっきりとして2頭身の人間らしい姿に成長します。目や耳、口も少しずつ原形ができてきますが、まだはっきりとした形にはなっていません。脳や脊髄などの神経細胞のほとんどが作られ、心臓や胃、肝臓などの内臓も急ピッチで作られていきます。そのため、4?16週は器官形成期とも呼ばれます。妊娠4週を過ぎる頃には赤ちゃんの心臓も動き始め、6週ころになると、超音波でも胎児の心拍が確認できるようになります。また胎盤のもとになる絨毛も増殖し、へその緒も発達し始め、ママと赤ちゃんのつながりもだんだん強くなってきます。妊娠期間の中でも、赤ちゃんが急激に成長するのがこの時期です。脳や内臓、四肢など、生きるために大切な器官の基礎が作られる時期です。そのため、この時期に薬や放射線、ウイルスなどが母体に入ると、赤ちゃんに奇形や機能障害などを起こす可能性も出てきます。しかし必ず起こるわけではありません。薬やエックス線は、妊娠4週より前であれば、器官形成期前なので赤ちゃんへの影響はそう心配ありません。4?7週の場合でも、薬の種類やエックス線の量、部位によってはさほど問題はありません。妊娠すると、あれこれと心配してしまうものですが、ひとりで悩まず主治医に相談しましょう。